昨今の生コンを取り巻く話題として、生コンの技術基準JIS A 5308が今年の3月21日に改正公示されました。土木、建築分野に用いる生コンはJISに基づくものが求められますが、施工現場で打設された生コンは一般的な建設資材とは異なり、計画した強度が発揮されるまでに時間を要します。そのため、生コンを納入した時点でその性能を担保する必要があり、その製造に関わる複数の材料と製造工程の品質管理が正しく行われることが厳重に求められています。今回の改正では、①製造時における環境負荷低減を目指す、②検査における製造事業者の労力を減らす、③材料の品質維持に問題のある戻りコンクリートを禁止する、④発注者と生コン製造業者との情報共有を電子化し、一層の合理化を行うこと等があげられます。関係各位の更なる努力を期待する次第です。
さて、生コンの品質管理監査制度は、「生コンの日常の品質管理の徹底と安定的供給を実現させ、製造される生コンの品質に関して、使用者から高い評価と信頼性ならびに理解と協力を得ること」を目的にスタートしてから、20年以上経過しました。この制度は、生コン工場を実地に査察し、学・官・産からの委員による監査会議において、各工場の品質管理の取り組み状況を全国統一の適合判定基準に基づいて客観的に判定することを骨子とする制度であり、国土交通省をはじめ諸官公庁、及びそれ以外の発注機関、土木学会、建築学会など各方面から高い評価を頂いております。
埼玉県生コンクリート品質管理監査会議では、監査は原則として第三者機関からの外部監査員が行い、監査結果は監査会議の承認を受けたのち、本冊子にて各工場の監査結果を公表いたしております。このように、中立性、公正性、透明性の3本柱をしっかりと守り、品質管理監査制度を推進して参りたいと存じます。令和5年度は県内59の工場に対して㊜マークが承認されました。これはひとえに各生コン工場の日頃の努力の賜物だと思います。生コン製造各社の更なるご努力に期待しております。