議長挨拶

議長挨拶

埼玉県生コンクリート品質管理監査会議 議長 睦好宏史

 コロナウィルスは漸く収束しつつあり、今年は以前の生活が戻ってくるものと期待しております。
 昨今の生コンを取り巻く話題として、残コン・戻りコンの問題が挙げられます。建設現場で打設した後に余った生コンのことで、一般には出荷元の生コン工場に戻って再利用されず、産業廃棄物として処理されています。これらは生コン総出荷量の3~5%あると言われています。昨年度出荷した生コンの総量は約7610万㎥です。その3%というと、200万㎥以上が1年間で発生していることになります。環境、SDGsの観点からも、残コン・戻りコンを極力減らす事が求められています。このようなことから戻りコンの有料化を始めた生コン協組もあるようですが、結果的には戻りコンの量は減っていないようです。生コンの打設量あるいはアジテータ内の残コン量を精度よく量るアプリあるいは機器の開発、戻りコンのコンクリートとしての再利用法等を今後考えていく必要があります。
 さて、生コンの品質管理監査制度は、「レディーミクストコンクリートの日常の品質管理の徹底と安定的供給を実現させ、製造されるレディーミクストコンクリートの品質に関する使用者からの高い評価と信頼性、ならびに理解と協力を得ること」を目的にスタートしてから、20年以上経過しました。この制度は、レディーミクストコンクリート工場を実地に査察し、学・官・産からの委員による監査会議において、各工場の品質管理の取り組み状況を全国統一の適合判定基準に基づいて客観的に判定することを骨子とする制度であり、国土交通省をはじめ諸官公庁、及びそれ以外の発注機関、土木学会、建築学会など各方面から高い評価を頂いております。
 我が国における2021年度のセメントの消費量は約3800万トンで、ピーク時(1990年)の消費量(約8400万トン)の半分以下となっています。しかし、2009年からはセメント消費量は安定した推移を見せております。コンクリートは耐久性が高く、造形の自由度が高い利点を有するため、多くの構造物に使用されており、特にインフラ整備、国土強靭化には無くてはならない建設資材であります。また、最近カーボンニュートラルすなわち脱炭素社会の実現を目指すことが政府の方針として示されました。コンクリート業界も今後はこれに協力していくことは避けられないと思われます。
 埼玉県生コンクリート品質管理監査会議では、監査は原則として第三者機関からの外部監査員が行い、監査結果は監査会議の承認を受けたのち、本冊子にて各工場の監査結果を公表いたしております。この、中立性、公正性、透明性の3本柱をしっかりと守り、品質管理監査制度を推進して参りたいと存じます。令和4年度は県内59の工場に対して㊜マークが承認されました。これはひとえに各生コン工場の日頃の努力の賜物だと思います。生コン製造各社の更なるご努力に期待しております。


埼玉県生コンクリート品質管理監査会議
議 長  睦 好 宏 史
埼玉大学 名誉教授・客員教授