議長挨拶

議長挨拶

埼玉県生コンクリート品質管理監査会議 議長 睦好宏史

 昨今の生コン業界における問題点・課題として、①生コン品質のさらなる向上、②需要開拓、③諸資材高騰に伴う生コンへの適正な価格転嫁、④人手不足を解消するための業界のイメージアップ、⑤カーボンニュートラルへの対応を挙げられています。このような課題を解決するためにはイノベーション(技術革新)があげられます。国土交通省では建設現場の自動化を掲げ、2040年度までに生産性を1.5倍に高めることを目指す「i-Construction 2.0」の一環として、コンクリート施工の生産性を大幅に高めることを宣言しました。例えば、コンクリートの品質を示す代表的な指標である「スランプ」の廃止に向け、品質管理にAI(人工知能)などの新技術を取り入れようとするものです。スランプ試験は生コンの流動性を表す重要な品質管理手法の1つですが、試験には施工者を含む複数の人間が立ち会うのが一般的で、多くの人手を要する点が生産性向上の妨げになっています。生コンの新たな品質管理の手法として、運搬中の生コンの状態を把握できる「情報化ミキサー(アジテーター車)」の導入やアジテーター車から流下する生コンの画像をAIにより解析し、生コンのコンシステンシーを管理することができれば、生産性および品質の向上と現場に配置する人の数を減らせることができます。生コン業界も他の分野の技術革新に取り残されないように新技術の開発に取り組んでいく必要があります。
 さて、生コンの品質管理監査制度は、「生コンの日常の品質管理の徹底と安定的供給を実現させ、製造される生コンの品質に関して、使用者から高い評価と信頼性ならびに理解と協力を得ること」を目的にスタートしてから、20年以上経過しました。この制度は、生コン工場を実地に査察し、監査会議において各工場の品質管理の取り組み状況を全国統一の適合判定基準に基づいて客観的に判定することを骨子とする制度であり、各方面から高い評価を頂いております。令和6年度は県内59の工場に対して㊜マークが承認されました。これはひとえに各生コン工場の日頃の努力の賜物だと思います。生コン製造各社の更なるご努力に期待しております。


埼玉県生コンクリート品質管理監査会議
議 長  睦 好 宏 史
埼玉大学 名誉教授・客員教授