コンクリートは耐震性、耐久性、経済性に優れ、生コン工場から容易に入手できるために、社会基盤を支える重要な建設材料であります。しかし、コンクリートの品質が確保されないと、コンクリート構造物に求められる性能が発揮できないのは言うまでもありません。コンクリートの品質を確保するために、JISの認証を受けた生コン工場では品質管理が適切に行われています。品質管理監査会議では、生コン工場で行われている品質管理体制をさらに外部から、公平な立場で監査し、品質監査基準に適合しているか審査します。
令和6年度に実施されました品質管理監査結果が今回とりまとめられました。品質監査会議の関係各位に対して、お礼を申し上げる次第です。
2009年、当時の民主党が「コンクリートから人へ」をマニフェストに掲げて政権交代が行われました。当時はコンクリートが政治的に取り上げられましたが、最近ではコンクリートの脱炭素化技術の立場から、逆に「人に優しいコンクリート」として評価されています。コンクリートにCO2を取り込み、固定化する技術(CO2吸収コンクリート)やセメント製造過程で発生するCO2を回収し再利用するカーボンリサイクル技術などが実用化されています。また、セメントの原料として都市廃棄物や災害廃棄物を活用する取り組みも積極的に行われています。一方で生コンの技術基準を規定しているJISA5308に関しても、環境負荷を低減するための観点から、骨材やスラッジ水の再利用などが標準化されるようになりました。2050年までにカーボンニュートラルを実現するために、生コン業界では常に様々な取り組みを行っています。今後ともコンクリートの脱炭素化に向けた取り組みに注目して頂きたいと考えております。