議長挨拶

議長挨拶

神奈川県生コンクリート品質管理監査会議 議長 出雲淳一

 生コンクリートはJISの認証を受けた工場で品質管理が適切に行われることにより、その品質が確保され、安心して使用することができます。しかし、通常は外部から閉ざされた工場で生コンクリートが製造されるために、コンクリートの品質管理体制が適切であるかどうかを第三者によって評価されることは重要であります。生コンクリートの品質管理監査は、 各事業者が自ら第三者機関による監査を受けることにより実施されます。その監査結果は産官学の委員から構成される品質管理監査会議において審議が行われ、品質管理体制が適切であるかを判断します。この度令和5年度の監査結果をとりまとめ、発刊することとなりました。ここに関係各位にお礼を申し上げます。
 電気自動車(EV)が内燃エンジン車に比べて、環境に優しいというイメージが持たれていますが、果たしてそうなのでしょうか。EVバッテリーに使われるリチウムの精製過程やバッテリー廃棄に伴う環境リスク、バッテリーの製造過程でCO2が発生すること、またEVの使用に際してはCO2を排出する電力会社からの安定供給が必要なことやバッテリーの寿命の問題など、EVが環境に対してプラスばかりではないことは明らかです。EVの製造から利用、廃棄に至るまでのライフサイクル評価(LCA)は内燃エンジン車に比べて必ずしも良いとは言えないという試算があります。EVが寒さに弱いことは以前から指摘されていましたが、最近極寒のシカゴで、急速充電が出来ず公共の充電ステーションは車の墓場と化したというニュースがありました。我が国が世界に誇れる内燃エンジン車を捨てて、「環境」という名の下に補助金を付けてEV化を進めることは、LCAの低い車を導入する訳ですから、社会の経済的損失を増加させることになります。
 セメント産業は数十年前からCO2削減に取り組んできていましたが、更なる環境負荷低減が求められています。また、コンクリートに関しても、CO2を最大限吸収するコンクリートの技術開発などが行われています。コンクリートの場合も、セメント製造過程から、コンクリート製造、施工、供用、廃棄までのLCAを見据えて、CO2削減に取り組むことが必要と考えています。今後のコンクリートのCO2対策に対して、経済的な損失が増大しないようLCAの観点からもその動向に注視していきたいと考えています。


神奈川県生コンクリート品質管理監査会議
議 長   出 雲 淳 一
関東学院大学 教授